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製造業のためのネジ標準化のメリットと導入プロセス

製造業のためのネジ標準化のメリットと導入プロセス

ネジ標準化の重要性と記事の目的

製造業では多種多様なネジ部品を扱う中で、部品管理や発注・在庫管理の複雑化が大きな課題となっています。ネジ標準化とは、JISやISOなどの共通規格を採用し、使用部品を絞り込むことで、資材調達や生産ラインの効率化、品質安定を図る手法です。これにより部品在庫の圧縮や発注ミス削減、締結不良リスクの低減など、実務面でのメリットが多岐にわたって得られます。

本記事では、製造現場の技術担当者や生産管理、品質保証、調達部門の方を対象に、「ネジ標準化」の基本概念と実践プロセスを具体的に解説します。導入のポイントや段階的なステップを提示し、ベトナム調達を活用したコスト最適化の事例も紹介することで、貴社の生産性向上とコスト削減をサポートします。

ネジ標準化がもたらす具体的メリット

コスト削減と在庫最適化

ネジ標準化により使用部品を絞り込むことで、発注ロットの最適化が可能になります。これにより仕入れコストの削減だけでなく、在庫種別が減少することで倉庫スペースや管理工数も大幅に削減されます。少量多品種生産時にありがちな在庫過多リスクを低減し、キャッシュフロー改善につながります。

品質安定と締結不良対策

共通規格(JIS/ISO)に基づいたトルク管理と許容差統一により、ネジの締結強度を常に一定水準に保てます。統一トルク値を設定した作業手順書を整備することで、締結不良や再作業の発生を抑制し、品質保証部門への負担も軽減されます。

リードタイム短縮と調達効率化

標準化品はサプライヤーの即時手配が可能なため、調達リードタイムが大きく短縮します。また、サプライヤー間で共通の規格仕様を共有することで、発注業務のコミュニケーションコストが低減し、発注ミスや仕様確認作業の工数を削減できます。

ネジ規格と技術要素のポイント解説

主な規格(JIS B 0209/ISO 68-1)

メートルねじは製造業で最も一般的に使用される規格で、JIS B 0209(日本工業規格)およびISO 68-1(国際標準化機構)が代表的です。並目ねじ(ピッチが大きい)と細目ねじ(ピッチが小さい)の2種類があり、並目ねじは汎用性に優れ、細目ねじは振動や緩み対策に適しています。

規格選定時の主なチェックポイント:

  • 外径とピッチの適合性:使用環境に応じた強度と緩み防止効果を考慮
  • 材質・表面処理:耐腐食性(ステンレス/メッキなど)や耐荷重性能の要件
  • 互換性確認:既存工具や現場プロセスとの親和性
  • コスト比較:大量調達時の単価と少量調達時の保管コストのバランス

トルク管理と許容差(精度等級)

締結品質の安定化には、適切なトルク管理とねじの許容差管理が不可欠です。トルク値は下記の基本式で算出できます。

T = K × D × P

  • T(締結トルク):N・m
  • K(摩擦係数):ねじ山及び座面の摩擦係数(一般的に0.15〜0.20)
  • D(有効直径):mm
  • P(締結プレンロード):N

摩擦係数は潤滑剤の有無や表面処理によって変動するため、現場での実測データを元にK値を設定することが重要です。

また、ISO精度等級(6H/6gなど)を活用することで、ねじ・めねじ部品の許容差を管理できます。一般的に「6H/6g」は中程度の精度を示し、量産品向けに最適ですが、高精度向けには「4H/4g」を選定することで、クリアランスの最小化と締結剛性向上が可能です。

ネジ標準化導入ステップと実践プロセス

現状分析による使用頻度と不良発生データの可視化

  • ERPや生産管理システムからネジ使用実績を抽出し、品種ごとの使用量を可視化
  • 不良解析レポートをもとに、締結トラブルが発生しやすい箇所を特定

最適規格選定で自社製品と顧客要件を両立

  • JIS/ISO規格の適合性を評価し、外径・ピッチ・材質要件を確定
  • 設計部門と連携して試作品締結試験を実施し、規格の適合性を実証

社内体制構築による責任分担とワークフロー策定

  • 購買・設計・生産・品質部門の各責任範囲をRACI表で明確化
  • 標準化プロジェクトチームを設置し、定例レビュー会議を設定

教育プログラムと標準作業マニュアルの整備

  • トルク管理手順書や許容差管理チェックリストを作成
  • 作業者向けワークショップを実施し、標準化手順の理解度を確認

パイロットライン運用によるKPI評価

  • 納期短縮率、不良率改善、在庫回転率といったKPIを設定
  • パイロット導入結果を定量評価し、改善ポイントを抽出

PDCAサイクルによる継続的改善とレビュー

  • 月次レビューで改善状況を共有し、課題解決策を立案
  • 改善状況をOJTやマニュアル更新に反映し、教育訓練を継続

ベトナム調達活用によるコスト最適化

オータベトナムが提供する現地調達サービスでは、JIS/ISO規格に適合した標準化ネジをベトナム国内から直接調達可能です。これにより輸送コストや関税負担を抑制し、総調達コストを最適化できます。また、ベトナムの製造業ネットワークを活用した少量多品種対応体制により、小ロットでの多彩な規格品調達が柔軟かつ迅速に実現します。

  • 輸送コスト削減:ローカルサプライヤーとの直取引で海上・航空輸送コストを最小化
  • リードタイム短縮:現地在庫連携による即日手配と納期管理
  • 品質トレーサビリティ:製造ロット管理と出荷前検査による一貫した品質保証
  • 少量多品種効率化:ベトナム物流ハブを活用した分散在庫モデルで在庫回転率向上

これらの施策を通じて、製造業におけるネジ調達プロセスを効率化し、コスト競争力を強化します。

まとめと次のステップ

ネジ標準化導入によって、以下の効果が得られます。

  • コスト削減:仕入れコストの低減と在庫圧縮によるキャッシュフロー改善
  • 品質安定:統一トルク管理と許容差統一で締結トラブルを大幅に低減
  • 納期短縮:即時手配可能な標準化品による調達リードタイムの短縮
  • 業務効率化:発注・在庫管理工数の削減とサプライチェーン・コミュニケーションの円滑化

まずは現場での小規模パイロット導入から始め、KPIを測定しつつPDCAサイクルで改善を重ねることをおすすめします。その後、得られた知見を全社展開し、ベトナム拠点を含むグローバル標準化体制を構築することで、さらなる競争力強化を図りましょう。

さいごに

サンプルや資料などのご相談は本メールにお返事いただくか、弊社担当営業までご相談ください!

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