コラム
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ベトナムをはじめとするアジア圏での部材調達は、為替や地政学リスクの影響を抑えながら柔軟なサプライチェーンを構築できる点が魅力です。しかし、いかにコストを削減しても納期が遅れれば市場機会を逃し、ブランド価値を毀損しかねません。本稿では 調達スピード を高めることで得られるメリットと、短納期を実現する具体策を解説します。キーワードは「調達スピード」と「ベトナム調達」です。
調達スピードとは、発注から部品が工場に届き生産ラインへ投入されるまでの全リードタイムを指します。発注リードタイム、輸送リードタイム、通関・検品リードタイムの三つに分けて分析することで、ボトルネックとなる工程を可視化できます。
調達スピードが向上すると、次の三つの効果が得られます。
ベトナム調達が注目される背景には、製造拠点への近接性とコスト競争力があります。生産国と調達国を同一または近接させれば、通常14日かかる海上輸送を、陸路や航空輸送の活用によって最短5日まで短縮することも可能です。さらにインコタームズ DAP(Delivered at Place:仕向地持込渡し)/DDP(Delivered Duty Paid:関税込持込渡し) を選択し、現地フォワーダーに通関を一任することで、追加1〜2日の短縮が見込めます。
調達スピード改善には「見える化」が欠かせません。ネジや締結部品にRFIDタグを取り付け、倉庫出庫時に自動スキャンする仕組みを導入すると、在庫量と所在がクラウド上にリアルタイムで反映されます。オータベトナムでは、IoTセンサー付きストッカーと生産管理システムを連携させ、需要変動に応じた自動発注を実現しています。その結果、調達リードタイムを 平均18%短縮 しました。
品質トラブルは納期遅延の最大要因です。現地で一次検査を完了させることで、不具合発生時の再輸送や再加工を防げます。オータが提供する多関節ロボット自動検査ラインでは、ねじ山欠損や寸法公差を100%自動検査し、PPAPレポートを即日発行。出荷後のクレーム率は0.01%以下を維持しています。
安全在庫日数は
(最大需要 × 最長LT) − (平均需要 × 平均LT)
で求められます。LT(リードタイム)を3日短縮できれば、安全在庫は理論上3日分削減できます。また、ガントチャートとバリュー・ストリーム・マッピング(VSM)を併用することで、プロセス間の待機時間を視覚的に抽出し、ムダ時間を25%削減 した事例もあります。
ベトナムには約2,000社の機械加工・締結部品メーカーが存在します。選定時は品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)に加え、技術提案力(Technical)を加えた QCDT で比較すると効果的です。また、年2回の現地監査で工程能力指数(Cpk)と5S状態を確認し、改善要望を共有することで連携スピードが高まります。
少量多品種生産では MOQ(Minimum Order Quantity:最小発注数量) とリードタイムのせめぎ合いが課題です。オータネジソリューションは、共通材質と寸法をクラスタリングし90%以上の部品を標準化。残る10%のみを短サイクルで特注生産することで、平均リードタイムを従来比60%削減(4週間→1.5週間)しながら在庫金額を30%削減しました。
調達スピード向上は輸送費や緊急発注コストの上昇を招く恐れがあります。為替予約や長期価格契約でコストを固定しつつ、定期船とエクスプレス便を組み合わせたハイブリッド輸送を採用すると、平均輸送コスト10%増でリードタイムを50%短縮できます。さらにベトナム政府の税制優遇(輸出加工企業向け関税0%)を活用すれば、増加分の輸送費を含む総調達コストを相殺できます。
次のステップとして、自社製品の現行リードタイムを分解し、最も時間を要する要素を定量的に把握することから始めてください。改善余地が可視化できれば、最適な調達スピード向上策を選択できるはずです。
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