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ベトナム製造業の岐路:人件費高騰と品質要求の狭間で進化するネジ・締結部品市場の最新動向

ベトナム製造業の岐路:人件費高騰と品質要求の狭間で進化するネジ・締結部品市場の最新動向

はじめに

ベトナムは「世界の工場」としての地位を確立し、多くの日系製造業にとって不可欠な生産拠点となっています。2024年に入ってもその勢いは衰えず、鉱工業生産指数は堅調な伸びを示し、海外直接投資(FDI)も製造業を中心に活発な流入が続いています。しかし、その一方で、現場では深刻な課題が顕在化しています。2024年7月からの最低賃金(平均6%)引き上げに象徴される「人件費の高騰」、依然としてASEAN諸国内で低い水準にある「現地調達率」、そして高付加価値化に伴う「品質要求の高度化」です。本記事では、この複雑な経営環境下で、ベトナムの製造業、特にその根幹を支える「ネジ・締結部品」市場がどのように変化しているのか、最新のデータに基づき徹底分析します。調達戦略の再構築を迫られる経営層および調達担当者様にとって、必読の内容です。

2025年に向けたベトナム製造業の現状:成長と課題の二面性

ベトナム経済は、2023年の調整局面を経て、2024年は再び力強い成長軌道に戻っています。ジェトロ(日本貿易振興機構)は2024年の実質GDP成長率を7.1%と予測しており、IMF推計による1人当たりGDPも4,536ドル(前年比219ドル増)に達する見込みです。この成長を牽引しているのが、まさに製造業です。

FDI流入と経済成長の持続

ベトナム計画投資省の発表によると、2024年第1四半期のFDI認可額は前年同期比13.4%増と好調を維持しています。特筆すべきは、その投資が「製造・加工業」に集中している点です。

  • 製造・加工業へのFDI集中: 2024年第1四半期において、製造・加工業はFDI全体の63.6%を占め、その額は39億3,000万ドルに達しました。
  • 主要投資国: シンガポールが全体の41.3%を占めトップであり、日本も5億2,020万ドルを投資しています。
  • 生産指数の回復: ベトナム統計総局(GSO)によれば、2024年の1月から5月までの鉱工業生産指数(IIP)は、前年同期比で6.8%増加しており、生産活動が活発化していることを裏付けています。

欧州商工会議所(EuroCham)の2024年版ホワイトペーパーでも、回答企業の約63%がベトナムをFDI投資先のトップ10に選んでおり、国際的な信認の高さがうかがえます。

顕在化する「3つの課題」:人件費高騰、現地調達率、品質の壁

輝かしい成長の一方で、製造現場は深刻な構造的課題に直面しています。

  1. 人件費の高騰:ベトナム国家賃金評議会は、2024年7月1日から最低賃金を平均6%引き上げる方針を決定しました。これは2年ぶりの改定であり、安価な労働力を前提としたビジネスモデルの転換を迫るものです。
  2. 低い現地調達率:ジェトロの「2024年度海外進出日系企業実態調査」によれば、サプライチェーン強靭化のため、今後1〜2年で「現地調達を拡大方針」とする製造業は39.3%と、前年調査の30.3%から上昇しています。しかし、ベトナムにおける日系製造業の現地調達率は約40%程度とされ、タイ(約60%)など他のASEAN諸国に比べて低い水準に留まっているのが実情です。
  3. 品質管理の壁:ベトナム政府は裾野産業の育成を急ぎ、2025年までに工業製品の現地調達率を45%に引き上げる目標を掲げています。しかし、現地サプライヤーの品質管理能力のばらつきは依然として大きく、高度な品質要求に応えられる企業は限定的です。これが現地調達率向上の最大の障壁となっています。

ベトナム「ネジ・締結部品」市場の最新動向

製造業の基盤となるネジ・締結部品(工業用ファスナー)市場も、これらのマクロ環境の変化と強く連動しています。

市場規模と成長予測:高付加価値化へのシフト

ベトナム単体の公式統計は限定的ですが、アジア太平洋地域全体の市場動向がベトナムの現状を強く反映しています。

Fortune Business Insightsの調査によれば、世界の工業用ファスナー市場規模は2023年の858億3,000万米ドルから、2024年には893億4,000万米ドルに達すると推定されています。さらに2032年には1,258億7,000万米ドルに達すると予測され、そのCAGR(年平均成長率)は4.3%と堅調です。

この市場を牽引しているのが、2023年時点で309億9,000万米ドルの市場規模を持つアジア太平洋地域です。ベトナムでは、自動車、産業機械、そして電子機器(ハイテク)分野へのFDI流入が活発化しており、これらが締結部品市場の需要を牽引しています。単なる標準品(ボルト、ナット)の需要から、より高強度、高耐熱、精密な特殊ネジ・加工品への需要シフトが鮮明になっています。

サプライチェーンの脆弱性:輸入依存からの脱却

ジェトロの調査で、生産移管先としてベトナムが最多(24.8%)となっている事実は、ベトナムがサプライチェーン再編の要所であることを示しています。しかし、そのサプライチェーンは未だ脆弱です。

特に高機能なネジや特殊鋼材を用いた締結部品は、依然として日本、台湾、中国からの輸入に大きく依存しています。この輸入依存体制は、国際的な物流の混乱や地政学的リスクに対して脆弱であるだけでなく、リードタイムの長期化や為替変動リスクを招き、コスト上昇の要因ともなっています。前述の「現地調達率の拡大方針(39.3%)」という日系企業の動向は、このリスクを回避し、コスト競争力を維持するための必然的な戦略と言えます。

製造現場が直面する調達DXと品質管理の変革

人件費高騰と品質要求の高度化という二重の圧力は、ベトナムの製造現場における部品調達と品質管理のあり方に変革を迫っています。

課題1:高まる品質基準とJIS・ISOへの対応

かつては「コスト最優先」であった調達も、現在は「品質とコストのバランス」へと移行しています。特に日系企業が求めるJIS(日本産業規格)やISO(国際標準化機構)に準拠した品質を、ベトナム国内で安定的に調達することは容易ではありません。現地サプライヤーの多くは、材料証明書(ミルシート)の管理や、精密な寸法公差の保証、ロットごとのトレーサビリティ(追跡可能性)の確保といった高度な品質管理体制が未整備なケースが多く見られます。

課題2:「少量多品種」調達の複雑化

生産ラインの自動化や顧客ニーズの多様化に伴い、製造現場では「少量多品種」の部品調達ニーズが急速に高まっています。試作品用の特殊ネジ数本から、量産ライン用の標準ボルト数万本まで、要求は多岐にわたります。しかし、従来のサプライヤーは大量発注を前提としていることが多く、小ロットの注文に対応できなかったり、見積回答に数週間を要したりするなど、調達業務のボトルネックとなっています。

課題3:IoTとデータ活用による品質トレーサビリティ

高付加価値製品の製造において、万が一の不具合発生時に迅速な原因究明と影響範囲の特定を可能にする「トレーサビリティ」は不可欠です。どのロットのネジが、いつ、どの製品に使用されたかをデータで管理する要求が高まっています。これには、IoT技術を活用した在庫管理や、デジタル化された検査データの連携など、サプライヤー側にも高度なデータ管理能力が求められます。

オータ・ベトナムが提供する次世代調達ソリューション

こうしたベトナム製造業の複雑な課題に対し、私たちオータ・ベトナムは、単なる部品供給者(サプライヤー)ではなく、お客様の調達プロセス全体を最適化する「ソリューション・パートナー」として機能します。

品質保証体制:JIS規格品から特殊加工品まで

オータ・ベトナムは、親会社である日本の株式会社オータが半世紀にわたり培ってきた品質管理ノウハウをベトナムで展開しています。JIS規格品はもちろんのこと、お客様の図面に基づく特殊加工品(切削加工品)に至るまで、厳格な受入検査と品質保証体制を構築。材料証明書(ミルシート)の提出や、各種測定データ(寸法、硬度、表面処理など)の添付にも対応し、お客様が要求する品質を確実に担保します。

VMI(ベンダー管理在庫)による調達プロセスの最適化

当社は、TRUSCO(トラスコ中山)の正規販売代理店として、MRO(工場用副資材)から生産用部品まで幅広く取り扱うだけでなく、お客様の在庫管理を最適化するVMI(Vendor Managed Inventory)サービスを提供しています。これは、お客様の在庫情報を当社がリアルタイムで把握し、必要な部品を必要な時に自動で補充する仕組みです。これにより、お客様は「少量多品種」の複雑な発注業務や在庫管理の負担から解放され、欠品リスクをゼロに近づけることができます。これは、IoTを活用した調達DX(デジタル・トランスフォーメーション)の具体的な解決策の一つです。

まとめ

2025年に向けて成長を続けるベトナム製造業は、「人件費高騰」と「低い現地調達率」、そして「高度化する品質要求」という大きな岐路に立っています。この課題を乗り越え、高付加価値な生産拠点へと進化するためには、ネジ・締結部品の調達戦略を根本から見直す必要があります。もはや「安価な標準品」を輸入に頼る時代は終わりを告げ、品質が保証された部品を、いかに効率よく、ジャストインタイムでベトナム国内もしくは近隣から調達するかが、企業の競争力を左右します。オータ・ベトナムは、JIS規格の高い品質保証と、VMIのようなデジタル調達ソリューションを両立させることで、ベトナムで奮闘される日系製造業の皆様の「部品調達のプロフェッショナル」として、その変革を強力にサポートしてまいります。

さいごに

サンプルや資料などのご相談は本メールにお返事いただくか、弊社担当営業までご相談ください!

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