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環境配慮型ネジの特徴と選び方:製造業のサステナビリティ対策

環境配慮型ネジの特徴と選び方:製造業のサステナビリティ対策

はじめに

製造業にとって「サステナビリティ(持続可能性)」は、今や事業継続に不可欠な経営戦略です。環境規制の強化やESG経営への関心の高まりを受け、製品を構成する部品一つ一つにも環境負荷低減が求められています。特に、あらゆる製品に使われる「ネジ」は、その量が膨大であるため、環境への影響も無視できません。

そこで注目されるのが「環境配慮型ネジ」です。これは、製造から廃棄までのライフサイクル全体で環境負荷を抑えたネジを指します。本記事では、製造業の実務担当者の皆様へ、環境配慮型ネジの基礎知識、選び方、導入メリット、そしてサステナビリティへの貢献について、ポイントを絞って解説します。

環境配慮型ネジとは?基本を理解する

環境配慮型ネジの定義とライフサイクル思考

環境配慮型ネジとは、文字通り、環境への配慮を重視して作られたネジのことです。重要なのは、そのネジが作られてから捨てられるまでの「一生(ライフサイクル)」全体で、環境への影響をできるだけ小さくしようという考え方です。単に一部分だけでなく、原材料調達、製造、輸送、使用、廃棄・リサイクルの各段階を総合的に見て評価します。企業の環境責任が問われる今、部品レベルでの環境配慮が製品全体の評価につながるため、その重要性は増しています。

環境配慮型ネジの種類と具体的な特徴

環境配慮のアプローチは様々です。主な種類とその特徴を見てみましょう。

1. 素材による配慮

  • リサイクル材使用ネジ: 鉄スクラップや廃プラスチックなどを再利用。資源の有効活用と廃棄物削減に貢献します。
  • バイオマスプラスチックネジ: 植物由来の原料を使用。石油依存を減らし、CO2排出抑制(カーボンニュートラル)に貢献する可能性があります。
  • 特定有害物質不使用ネジ: 鉛、カドミウム、六価クロムなど、規制されている有害物質を含まない素材や表面処理を採用。人の健康と環境を守ります。

2. 製造プロセスにおける配慮

  • 省エネルギー型製造: 材料を常温で加工する「冷間圧造」や、削らずにネジ山を作る「転造」など、エネルギー消費の少ない工法を採用します。
  • 廃棄物削減型製造: 上記の「転造」のように、加工時に切り屑(スクラップ)が出にくい工法を選び、材料の無駄をなくします。
  • 水使用量削減: 洗浄や表面処理工程での水使用量を減らす技術や、水の再利用システムを導入します。

3. 環境配慮型表面処理

  • 六価クロムフリー処理: 従来のクロメート処理に含まれていた有害な六価クロムを使わず、「三価クロメート処理」や「ノンクロム系処理」(亜鉛ニッケル合金メッキなど)を採用。環境規制に対応しつつ、必要な耐食性を確保します。

これらの特徴を理解し、目的に合ったネジを選ぶことが大切です。

主要な環境規制・認証との関連性

環境配慮型ネジの選定には、国際的な規制や認証の知識も役立ちます。

  • RoHS(ローズ)指令: EUの電気・電子機器向け有害物質使用制限。鉛、六価クロムなどが対象です。
  • REACH(リーチ)規則: EUの化学物質の登録・評価・認可・制限に関する包括的な規則。
  • ISO 14001: 環境マネジメントシステムの国際規格。取得しているサプライヤーは、環境配慮への組織的な取り組みを行っている証となります。

これらの規制への適合状況は、サプライヤー選定の重要な指標です。

製造現場での環境配慮型ネジの選び方と導入

では、実際に環境配慮型ネジを選ぶ際には、どのような点に注意すればよいのでしょうか。性能、環境、コスト、供給体制のバランスが重要です。

環境配慮型ネジ選定における重要基準

1. 性能要件の確認
製品に必要な強度、耐久性、耐食性を満たしているかが大前提です。使用環境や相手材との相性(異種金属接触腐食など)、軽量化の必要性も考慮します。

2. 環境側面からの評価
リサイクル材の使用率、有害物質の不使用証明(RoHS適合証明など)、リサイクルのしやすさなどを確認します。企業のグリーン調達基準に照らし合わせることも有効です。

3. 経済性と供給体制
初期コストだけでなく、メンテナンス性なども含めたライフサイクルコストで評価します。また、必要な時に必要な量を確実に調達できるか、品質は安定しているか、サプライヤーの信頼性も重要です。特に少量多品種のネジが必要な場合、柔軟な対応力を持つサプライヤー(例えば、オータベトナムのようなオンラインサービス)が役立ちます。

用途・業界別の選定ポイント(例)

  • 自動車: 高強度・高耐久・耐食性・軽量化が鍵。リサイクル材や六価クロムフリー高耐食メッキが重要。
  • 電子機器: 小型・精密・RoHS適合は必須。軽量化や絶縁性のために樹脂ネジも多用されます。
  • 建設: 高強度・高耐久・長期耐食性が最優先。高耐食メッキ処理が施された高力ボルトなどが中心。

導入のメリットと考慮すべき点

メリット

  • 企業イメージ・ブランド価値の向上(サステナビリティへの貢献)
  • 環境規制への対応、将来リスクの回避
  • ESG投資家や顧客からの評価向上
  • 省資源・省エネによる中長期的なコスト削減の可能性

考慮すべき点

  • 一般的なネジより初期コストが高い場合がある
  • 新しい素材・技術の性能評価が必要
  • 安定供給可能なサプライヤーの確保
  • 既存の設計・製造プロセスへの影響

メリットとデメリットを比較検討し、計画的に導入を進めましょう。

環境配慮型ネジが製造業のサステナビリティをどう推進するか

環境配慮型ネジは、単なる部品選択の問題ではなく、企業のサステナビリティ戦略全体に関わってきます。

ESG経営・SDGs達成への貢献

環境配慮型ネジの採用は、ESG(環境・社会・ガバナンス)の各側面に貢献します。

  • 環境(E): 資源効率改善、CO2削減、廃棄物削減、環境汚染防止
  • 社会(S): 安全な製品提供、サプライチェーンでの労働環境配慮
  • ガバナンス(G): 法規制遵守、情報開示の透明性向上

これは、SDGs(持続可能な開発目標)の目標12(つくる責任 つかう責任)や目標13(気候変動対策)などの達成にもつながります。

サプライチェーン全体での環境負荷低減(スコープ3削減への寄与)

企業のCO2排出量算定では、自社以外の排出、特に「購入した製品・サービス」(スコープ3 カテゴリ1)が重要視されます。ネジのような部品でも、調達量が多ければ全体の排出量への影響は大きくなります。環境配慮型ネジをサプライヤーから調達することは、スコープ3削減の有効な手段です。

国内外の製造業における導入事例と効果

国内外で導入が進んでいます。

  • 日系企業: トヨタ自動車や日立製作所などが、リサイクル材利用や環境配慮設計を推進しています。
  • ベトナム: 外資系企業からの要求や政府の環境政策もあり、地場企業(VinFastなど)でも環境配慮部品の採用が増加傾向にあります。GISオータベトナムも、ベトナムでの調達をサポートしています。

導入効果として、環境性能向上、規制対応、ブランドイメージ向上などが報告されています。

環境配慮型ネジの市場動向と未来展望

最後に、市場と技術の今後の動きを見てみましょう。

環境配慮型ネジ市場の現状と成長予測

世界的な環境意識の高まりと規制強化を背景に、市場は拡大傾向にあります。特に自動車、電子機器、建設分野での需要が増加しています。日本、ベトナムを含むアジア市場も成長が期待されます。

最新技術トレンドと研究開発

より高性能で環境負荷の少ないネジを目指し、開発が進んでいます。

  • 新素材: 高性能バイオマスプラスチック、新規リサイクル合金など。
  • 革新的製造プロセス: 3Dプリンティングによるオンデマンド製造、AI活用など。
  • 高度な表面処理技術: より高耐食な六価クロムフリー処理など。

これらの技術が、今後の製品開発を支えていくでしょう。

カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの影響

脱炭素化と資源循環の動きは、ネジ業界にも影響を与えます。製造プロセスの省エネ化、リサイクルしやすい設計(DfE)が一層重要になります。将来的には、ネジの回収・再資源化システムの構築も進むかもしれません。

まとめ

環境配慮型ネジは、製造業がサステナビリティを実現するための重要な要素です。それは単に環境のためだけでなく、企業の競争力強化にもつながる戦略的な選択と言えるでしょう。

選定・導入を成功させるポイントは以下です。

  • 目的の明確化: 性能要件と環境目標を具体的に設定する。
  • 情報収集とサプライヤー連携: 最新情報を把握し、信頼できるパートナーを見つける。
  • ライフサイクル視点: 初期コストだけでなく、長期的な視点で評価する。
  • 継続的な改善: 技術や状況の変化に合わせて見直しを続ける。

環境配慮型ネジの活用は、持続可能な社会への貢献であり、未来への投資です。本記事を参考に、ぜひ具体的なアクションを検討してみてください。

さいごに

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