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生産ラインで役立つネジの選び方:効率と品質を両立する方法

生産ラインで役立つネジの選び方:効率と品質を両立する方法

はじめに:たかがネジ、されどネジ 生産ラインを左右する選定の重要性

生産ラインで日常的に使われる「ネジ」。しかし、この小さな部品の選択が、ラインの効率と製品品質を大きく左右することをご存知でしょうか? 不適切なネジは作業遅延や品質不良を招き、コスト増や信用の失墜にも繋がりかねません。「たかがネジ」と軽視せず、戦略的に選ぶことが重要です。

本記事では、製造現場の皆様へ、生産ラインの「効率」と「品質」を両立させるための、実践的なネジ選定方法を解説します。日々の改善活動のヒントとしてください。

なぜネジ選びが重要なのか?生産ラインへの影響を理解する

ネジ選定ミスは、見過ごせない問題を引き起こします。効率と品質の両面から、その影響を見ていきましょう。

生産効率への直接的な影響

  • 作業時間のロス: ねじ込みにくさやドライバービットの滑り(カムアウト)は、タクトタイムを悪化させます。
  • 自動化ラインの阻害: ネジの寸法ばらつきや供給不良は、自動機の停止(チョコ停)を招きます。
  • 工具寿命の短縮: 不適切なネジは工具の摩耗を早め、交換コストと時間を増加させます。
  • 管理工数の増加: ネジの種類が多いと、在庫管理や発注業務が煩雑になります。

製品品質への深刻な影響

  • 締結不良: トルク管理が不十分だと、ネジの緩みや破損による製品の信頼性低下につながります。
  • ネジ自体の問題: ネジの強度不足や品質不良は、製品の破損や機能不全の原因となります。
  • 異種材料締結時のトラブル: 電食(異種金属接触腐食)や熱膨張差による問題が発生する可能性があります。
  • リコールリスク: ネジの不具合が重大な製品事故を引き起こし、リコールに至るケースも少なくありません。

このように、ネジ選定は生産性と製品信頼性の根幹に関わる重要な要素なのです。

生産効率を劇的に改善する!ネジ選定のポイント

では、どうすれば生産効率を高められるのでしょうか? ネジ選びにおける具体的な改善ポイントです。

作業時間を短縮するネジの形状と特徴

手作業や工具での締め付けをスムーズにする工夫です。

  • ねじ込み易さ: 先端のテーパー形状やガイド形状は、穴への挿入を容易にします。
  • 確実なトルク伝達: 六角穴やトルクス®などのリセス形状は、カムアウトを防ぎ、力を確実に伝えます。
  • 作業性の向上: 低頭形状やフランジ付き形状は、部品との干渉を防いだり、位置決めを助けたりします。

自動化ラインを止めない!自動機向けネジの条件

自動機が安定稼働するためには、ネジ自体にも高い品質が求められます。

  • 高精度・高品質: 寸法精度が高く、バリや異物がないことが必須です。
  • 供給方式への適合: パーツフィーダーやテープリールなど、自社の自動機に適した供給形態を選びましょう。
  • 表面状態: 表面が滑らかであることや、吸着方式に適した状態であることも重要です。

自動機メーカーとの連携による仕様決定が鍵となります。

標準化・共通化による効率化の進め方

使用するネジの種類を絞ることは、効率化の基本です。

  • メリット: 在庫管理の簡素化、コスト削減(大量購入)、工具・設備の集約などが期待できます。
  • 進め方: 設計段階からネジの種類を意識的に統一し、関係部署で連携して標準化を進めます。サプライヤーとの協力も不可欠です。

工程削減を実現する特殊ネジの活用

組立工程そのものを減らせるネジもあります。

  • 下穴・ナット不要タイプ: タッピンねじ、ドリルねじ、セルフフォーミングねじなどを活用すれば、下穴加工やナット締めの手間が省けます。
  • 部品点数削減タイプ: 座金が一体化したセムスねじや、緩み止め機能を持つネジを使えば、部品点数と組立工数を削減できます。

これらのネジを適材適所で使うことで、ラインはよりシンプルになります。

揺るぎない品質を築く!ネジ選定のポイント

効率だけでなく、製品の信頼性を確保するためのネジ選びも極めて重要です。品質向上のためのポイントを見ていきましょう。

安定したトルク管理を実現するために

適切なトルク管理は、安定した締結力を得るための基本です。

  • 重要要素: 要求強度を満たす材質と強度区分、摩擦係数が安定した表面処理、高い寸法精度。これらがトルクと軸力(実際に押さえる力)の関係を安定させます。
  • ポイント: ネジ自体の品質が、トルク管理の精度を左右します。信頼できる品質のネジを選びましょう。

最大の敵「緩み」を防止する技術と選定

振動や温度変化などで発生するネジの緩みは、重大な問題を引き起こします。

  • 主な対策:
    • 物理的ロック: ばね座金、歯付き座金、ナイロンナット、ダブルナット、ハードロックナット®など。
    • 摩擦増加: 緩み止め接着剤、ナイロンパッチ付きネジなど。
    • 特殊形状: 特殊なねじ山形状(スレッドロック®など)、リブ付きフランジなど。
  • 選定: 使用環境、コスト、作業性、メンテナンス性を考慮し、最適な緩み止め方法を選びます。

締め付け不良(カムアウト、ねじバカ等)を防ぐ

作業中のトラブルも品質に影響します。

  • 対策: カムアウトしにくいリセス形状の採用、適切な強度区分の選定、適正トルクでの締め付け。
  • 工具管理: ネジに合った高品質なドライバービットを使用し、摩耗したら交換する。トルク管理ツールの定期的な校正も重要です。

異種材料締結の注意点と対策

異なる材料を組み合わせる際は注意が必要です。

  • 電食防止: 電位差の小さい金属を選ぶ、絶縁性のワッシャーを使う、適切な表面処理を選ぶ。
  • 熱膨張差対策: 樹脂用タッピンねじを使う、クリアランスを設けるなど、応力を緩和する設計を。

ヒューマンエラーを防ぐ「ポカヨケ」の工夫

人的ミスを減らす仕組みも大切です。「ポカヨケ」と呼ばれます。

  • 視覚的識別: ネジの色を変えたりマーキングしたりして、間違いを分かりやすくします。
  • 形状による識別: 異なる形状のネジや工具で、物理的に誤使用を防ぎます。
  • システム的対策: RFIDタグなどで締め付け履歴を管理する方法もあります。

効率と品質の両立:実践的なアプローチと連携

効率と品質、この二つをどう両立させるか。実践的な考え方と、組織的な取り組みが求められます。

トレードオフを乗り越える考え方

  • 目標設定: 製品の要求品質とコスト目標に基づき、ネジ選定の優先順位を明確にします。
  • VAVEアプローチ: 機能や価値を維持・向上させつつ、コストや工数を削減できないか、ネジの種類や締結方法を見直します。
  • 標準化・自動化: これらを組み合わせることで、ばらつきを抑え、効率と品質の両立を目指します。

部門間連携のススメ:設計から調達まで

最適なネジ選定と導入は、部門間の協力なしには成り立ちません。

  • 情報共有: 設計意図、生産要件、品質基準、コスト目標などを関係部署(設計、生技、製造、品質、調達)で共有する体制が重要です。
  • コンカレントエンジニアリング: 開発初期から各部門が関与し、問題を早期に発見・解決します。

調達戦略がラインを支える

安定した生産には、確実な部品調達が不可欠です。

  • サプライヤーマネジメント: 品質、コスト、納期、技術力などを総合的に評価し、信頼できるサプライヤーを選びます。
  • 在庫管理: 需要予測に基づき、適正な在庫レベルを維持します。JIT(ジャストインタイム)納入やVMI(サプライヤー在庫管理)も有効です。
  • リードタイム短縮: サプライヤーとの連携強化や、国内・近隣国(例:ベトナム国内)調達の検討も重要です。

少量多品種生産への対応

多品種生産では、ネジ管理の工夫が必要です。

  • 共通化・モジュール化: 製品群でネジの種類を可能な限り共通化します。
  • 柔軟な設備: 多品種対応や段取り替えが容易な自動化設備を導入します。
  • 作業者のスキル: 多能工化を進め、標準作業を徹底します。

ベトナム製造業における改善事例(概要)

ここベトナムでも、ネジの見直しによる改善が進んでいます。タッピンねじ活用による工程削減や、セムスねじによる部品点数削減で効率を上げている工場があります。また、日系企業を中心に、自動化と連携した高品質なネジの導入事例も見られます。(2025年4月現在)

まとめ:最適なネジ選びで生産ラインを進化させる

ネジ選定は、生産ラインの効率と品質を左右する重要な要素です。適切なネジを選ぶことは、コスト削減だけでなく、競争力強化への投資と言えるでしょう。

効率と品質を両立するための要点は以下です。

  • 目的適合性: 製品要求と生産条件に合った仕様を明確に。
  • 標準化: ネジの種類を集約し、管理とコストを最適化。
  • 自動化: 効率と安定化のため、自動化に適したネジを選定。
  • 品質確保: 緩み、トルク、不良防止など、品質課題へ対策。
  • 連携: 部門間およびサプライヤーとの協力体制を構築。

ぜひ、自社の生産ラインで使用しているネジを見直し、改善の可能性を探ってみてください。最適なネジ選びで、生産ラインをさらに進化させましょう。

さいごに

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