コラム
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「たかがネジ一本」なんて思っていませんか? 実は、ものづくりの世界では、この小さな部品の締め付け方が、製品の品質や安全性を大きく左右するんです。特に重要なのが「トルク管理」。簡単に言えば、ネジをどれくらいの力で締め付けるか、ということです。
力を入れすぎて締めすぎると、ネジや部品が壊れてしまうかもしれません。逆に、力が足りないと、使っているうちに緩んできて、思わぬトラブルや事故につながることも…。
「じゃあ、どうすればいいの?」
この記事では、そんな疑問にお答えします。ネジを「ちょうどよく」締めるための「適正締結トルク」について、基本から現場での実践方法まで、わかりやすく解説していきます。製造現場の技術者の方から、品質管理担当者、設計者、そして実際に作業される方まで、ネジに関わるすべての人に読んでいただきたい内容です。さあ、一緒に見ていきましょう!
まずは基本のキ、「締結トルク」そのものについてお話しします。
締結トルクとは、ネジやボルトを締めるときに、レンチなどで加える「回す力」のこと。力(N)と、回転の中心からの距離(m)を掛け合わせたもので、「N·m(ニュートンメートル)」という単位で表されます。
では、なぜネジを回して締め付けるのでしょうか? その目的は、部品同士をしっかり固定するための「軸力(じくりょく)」を生み出すためです。ネジを締めると、ネジ自身がわずかに伸びます。そして、伸びたネジが元に戻ろうとする力、これが軸力です。イメージとしては、見えない強力なバネが部品同士をギュッと押し付けている感じ。この軸力による摩擦のおかげで、部品はズレたり緩んだりせずに固定されるわけです。
つまり、適切なトルクで締める = 適切な軸力を得る、これがネジ締結の核心なんですね。
「しっかり締めなきゃ!」と、つい力を入れすぎてしまうこと、ありませんか? でも、それが落とし穴になることも。締めすぎも、逆に緩すぎも、様々な問題を引き起こします。
締めすぎ(オーバートルク)は「破壊」のもと
締め不足(アンダートルク)は「緩み・脱落」を招く
どうでしょう? 「ちょうどいいトルク」で管理することが、いかに大切かお分かりいただけたでしょうか。
適正なトルク値は、実は様々な要因で変わってきます。まるで料理のレシピのように、材料や条件によってさじ加減が必要なんです。
トルク値の目安は、簡単な式で計算できます。
T = k * d * F
この式で一番のキーマンが「トルク係数 (k)」。これは、加えたトルクのうち、どれだけが有効な軸力に変換されるかの「効率」を示すような値です。そして、この効率は主に「摩擦」の状態で大きく変わります。
潤滑されていれば効率は良く(kは小さく)、乾燥していれば効率は悪く(kは大きく)なります。問題は、この kの値が、ちょっとしたことでバラつきやすい こと。だから、トルク値だけを頼りにすると、実際の軸力には思った以上に差が出ることがあるんです。
毎回計算するのは大変なので、実務では「標準締付けトルク表」がよく使われます。ネジメーカーなどが、材質やサイズごとに推奨トルク値をまとめてくれている便利な資料です。JIS規格(JIS B 1083 など)も参考になります。
ただし、注意点が一つ。これらの表は、あくまで 一般的な条件下での参考値 だということ。あなたの現場の条件(特に潤滑状態!)が表の前提と違うなら、鵜呑みにせず、必ず実際の条件に合わせて調整したり、テストしたりして、最適なトルク値を見つける努力が必要です。
さあ、理論はOK。次は、どうやって現場で「適正トルク」を実現するか、具体的な方法を見ていきましょう。
どちらを選ぶかは、求められる精度やコスト、作業性で判断します。
トルク管理の主役、トルクレンチ。いくつか種類があります。
選ぶときは、必要なトルク範囲、精度、使い勝手を考慮しましょう。そして、一番大切なのは正しい使い方!
トルクレンチも、使っているうちに(あるいは使わなくても)精度がズレてくることがあります。
なぜ校正が必要?
「ちゃんと測ってるつもり」が、実はズレていた…なんてことになったら、トルク管理の意味がありませんよね。だから、定期的な精度のチェックと調整=校正 が絶対に必要なんです。
どれくらいの頻度で?
一般的には年1回、または一定の使用回数ごとが目安ですが、使用状況に合わせて社内でルールを決めるのがベストです。
どうやって?
専用のテスターで精度を確認します。信頼できる業者さんに依頼するのが確実。特に品質管理システム(ISOなど)では、校正の記録(トレーサビリティ)が求められます。
どんなに良い道具やルールがあっても、使う「人」の意識とスキル、そして「確認」の仕組みがなければ、絵に描いた餅。
さて、ネジの適正締結トルクについて、駆け足で見てきましたがいかがでしたか?
ネジの締め付けは、単なる作業ではありません。製品の性能と安全性を支える、とても重要な品質管理項目です。締めすぎも、緩すぎも、様々なトラブルの原因になります。
確かなものづくりのために、今日からできること:
これらの基本をしっかり押さえることが、信頼される製品づくりへの近道です。この記事が、あなたの現場のトルク管理を見直し、改善するきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
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