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製造業における物流コスト削減のための調達改善策

製造業における物流コスト削減のための調達改善策

はじめに

製造業の利益を圧迫する代表的な間接費が「物流コスト」です。ベトナムをはじめとする海外拠点を持つ企業では、国際輸送費や在庫過多が経営を揺るがしかねません。本記事では、調達改革を起点に物流コストを体系的に最適化する方法を、最新データと具体事例を交えて解説します。読み終えたとき、明日から着手できるアクションプランが見えているはずです。

グローバル物流の最新動向とベトナム市場

2025年7月末時点のドリューリー世界コンテナ指数は40フィートコンテナ当たり2,499ドルと、2021年ピーク比で約60%下落しましたが、パンデミック前(2019年)比では依然15%高い水準です(drewry.co.uk)。一方、ベトナム国内の物流コストはGDP比16〜17%と、世界平均10.6%を大きく上回っています(vietnamnet.vn)。人件費優位があるとはいえ、輸送インフラの未整備や多段階輸送がコスト高の主因です。

物流コストの構造と主要課題

製造業の物流費は一般に、輸送費55%、保管費18%、荷役費15%、管理費12%という構成比といわれます(社内ベンチマーク値)。とりわけ輸送費と保管費は、調達条件(ロット設計やインコタームズ)に大きく左右されます。大量発注で単価は下がります。しかし在庫・倉庫費用が膨らむため、全体コストは必ずしも低減しません。逆に、小ロット頻発注では輸送単価が上がり、こちらもコスト高につながります。

データドリブン調達DXでコスト可視化

まず行うべきは現状把握です。購買・物流データを統合し、PO発行リードタイム・支出可視化率・在庫回転率などをKPI化すると、ムダが数字として浮き彫りになります。AI活用企業では、物流コストを平均15%、在庫を35%削減した事例が報告されています(procurementtactics.com)。Qaseeなど工数自動計測ツールとBIダッシュボードを併用すれば、担当者ごとの属人的なExcel管理から脱却し、全社横断で意思決定を高速化できます。

サプライヤ統合とロット最適化

発注ロット最適化(MOQ〈最小発注数量〉/EOQ〈経済的発注量〉再計算)は、輸送費と在庫費を同時に下げる最短距離です。例えば、同一仕向けの部品を週次混載便にまとめるだけで、FCL〈Full Container Load〉比で輸送単価を平均12%圧縮できます。当社クライアントでは、ロングテール品を月次発注から週次混載へ切り替え、在庫日数を45日→25日に短縮しました。副次的に、サプライヤ統合により発注書発行件数が30%減り、管理工数も削減されています。

インコタームズ&マルチモーダル輸送最適化

インコタームズをEXWからFOBへ変更すると、輸送負担エリアが変わりキャッシュフローが改善します。保険料とフォワーダー手数料を一括交渉することで、総物流コストを6%削減した例もあります(ship4wd.com)。また、鉄道+海上のマルチモーダル輸送を使えばリードタイムを維持しつつ、CO₂排出を25%低減できます。燃料サーチャージ高騰期には、環境負荷とコストの両面で有効な施策です。

倉庫自動化と現場IoT

AGV/AMRのRaaS〈Robots as a Service〉モデルが普及し、導入コストは2023年比で約18%低下しました。多くの事例で投資回収期間は12〜18か月に短縮しています(agv.inovatica.com). バーコードリーダやトルク管理IoTと組み合わせれば、荷役ミス削減とトレーサビリティ強化を同時に実現できます。さらにWMS〈Warehouse Management System〉と連携することで、昼夜問わず自律搬送を行い、この施策により人員配置をピーク時比で25%削減した工場もあります。

オータベトナムの支援事例とロードマップ

当社はベトナム国内50社超の締結部品サプライヤと連携し、「現地一括調達+週次混載便」のモデルを提供しています。ある日系精密機器メーカーでは、輸送費を18%、納期を30%短縮し、在庫削減効果でキャッシュフローも大幅に改善しました。導入ロードマップは次の4ステップです。

  1. As‑Is診断:物流・調達データを90日分取得し、KPIギャップを可視化。
  2. クイックウィン施策:インコタームズ変更、ロット再設計、混載便試験運用(3〜6か月)。
  3. データ基盤構築:BIダッシュボードとIoT連携でリアルタイムモニタリング。
  4. 自動化投資:AGV/AMR、WMS、バーコード管理の順に段階導入。
    これらの施策により、物流コスト比率を3年間で売上比3ポイント低減することを目標にしています。

まとめ

  • 調達起点の最適化で輸送費・在庫費を同時に削減。
  • データ統合とDXにより意思決定を高速化し、継続的改善サイクルを構築。
  • インコタームズと輸送モードの見直しでコストと環境負荷を両立。
  • 倉庫自動化×IoTで荷役工数と品質トレーサビリティを強化。
  • オータベトナムは現地調達ネットワークと日本式品質管理で貴社の改善を伴走支援します。

さいごに

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