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循環型経済に貢献するリサイクル可能なネジ素材とは?

循環型経済に貢献するリサイクル可能なネジ素材とは?

はじめに

カーボンニュートラル達成と循環型経済(サーキュラーエコノミー)への移行は、部品単位の設計と運用から始まります。ねじ(ボルト・ナット・小ねじ)は点数が多く、現場での「少量多品種」や「混在材」になりやすい代表部品です。本記事では「ねじ リサイクル」を実務で回すために、素材の選定から分別・回収、規格・証跡までを、ベトナム製造業の現場での実装を想定して解説します。

対象は購買・生産技術・品質保証・環境(サステナビリティ)担当の皆さまです。オータベトナムの支援事例と標準化テンプレートを踏まえ、以下を重視します。

  • 素材別のリサイクル適性(鉄・ステンレス・アルミ・真鍮・チタン・樹脂)と表面処理の影響
  • 分別・回収フロー(磁選/渦電流)と現場5S、ロット管理
  • 規格・証跡:ISO 3506、EN 10204 3.1、ISO 14021/14044の使いどころ
  • ベトナム調達でのコスト削減とCO2削減の両立、オータネジ ソリューションの活用

読み終えるころには、混在材によるスクラップ価値の目減り防止、再使用可否の判断基準、図面・BOMでの記載ルールまで、すぐ現場に展開できる実務ノウハウを持ち帰っていただけます。

概要(ねじ素材と循環の関係)

ねじは小型でも数量・品種が多く、現場では「少量多品種」「混在材」になりやすい部品です。循環型設計を成立させるためには、①素材のリサイクル容易性、②表面処理・インサート等の有無による分別のしやすさ、③材質・ロットのトレーサビリティ、④現場での回収運用(分別・保管・引渡し)の四点を同時に設計・標準化することが重要です。

30秒でわかる回収フロー(標準案)

  1. 図面・BOMに材質(例:A2-70、SUS304、C3604、A5052)と表面処理を明記
  2. ライン末端に材質別ボックス(鉄/ステン/真鍮/アルミ/混在)を常設
  3. 磁選→渦電流選別(ECS)で非鉄を仕分け、液体・油分は事前排出
  4. ロットQRで回収重量・純度・引渡し先を記録し、スクラップ代を原価へ還元

素材別の要点(要約)

  • 鉄・炭素鋼:磁選で素早い一次分別が可能。EAFでの再資源化ルートが確立。めっき・油分は洗浄で歩留まり改善。
  • アルミ:再生時の消費エネルギーが小さくCO2削減効果が大。ECSで効率分別。
  • ステンレス(A2/A4など):ISO 3506準拠の刻印・表記が分別に有効。冷間加工で弱磁性化する場合があるため、磁石だけに頼らない識別を。
  • 真鍮(銅合金):高値で回収されやすく、切削屑も価値が高い。鉄混入で価値が下がるため専用ボックスを徹底。
  • 表面処理鋼(溶融亜鉛めっき等):めっきは溶解時にダスト回収され再資源化可能。過剰な油・接着剤は事前除去。

現場豆知識:スクラップはビス屑・ネジ屑・ナット屑・ボルト屑などのカテゴリで扱われます。混在は買取単価の低下に直結するため、鉄・ステン・真鍮・アルミの分別をまず習慣化しましょう。

リユース(再使用)との線引き
重要用途(安全・圧力・高温・回転体・構造)のねじは原則リユース禁止です。再使用を検討するのは、非重要用途で以下をすべて満たす場合に限ります。

  • 伸び・座面陥没・座繰り痕・座金痕の目視異常なし
  • ねじ山の損傷・潰れ・腐食なし、めっき剥離がない
  • 規定トルクの50〜70%で回転抵抗の異常なし(試験片での簡易確認)
  • 熱履歴・薬品履歴・衝撃履歴が明確である
    判断に迷う場合は新品交換を基本としてください。

詳細解説(素材別のリサイクル適性と設計・運用)

鉄・炭素鋼ねじ(ユニクロ・黒染め等)
特長:磁性により一次分別が容易で、既存の製鋼プロセスにスムーズに組み込めます。EAFでは高率にスクラップ投入が可能です。
リサイクル時の要点:亜鉛・ニッケル等のめっき、切削油、ねじロック剤は回収前に可能な範囲で除去。過度の汚染は歩留まり・安全衛生に影響します。
設計メモ

  • 同一製品内で表面処理を統一し混在を抑える
  • 座面設計・座金選定で過剰トルクを防ぐ
  • 梱包ラベルに材質・表面処理・ロットを明記

ステンレスねじ(A2/A4 他)
特長:耐食性と循環性の両立。ISO 3506の材質記号+強度等級(例:A2-70、A4-80)や頭部刻印で分別・証跡が取りやすい。
注意点:冷間加工や相違材により弱磁性化することがあり、磁石判別だけでは誤判定の恐れ。ラベル・刻印・受入検査を併用。
設計メモ

  • 異種金属接触による電食に注意(アルミ母材には絶縁ワッシャ等)
  • 小径品は袋・箱ラベルでISO表記を明記

アルミねじ
特長:軽量・耐食で、再生時のエネルギー負荷が小さいためCO2削減に有利。
運用のコツ:ECSで高効率に非鉄分別。切削屑は乾燥保管し、油分を減らすと評価が上がります。
設計メモ

  • 座面直圧を避ける(座金・ブッシングで面圧分散)
  • 雌ねじ側材質と締結強度の整合(雌側が樹脂・アルミの場合の座屈対策)

真鍮(銅合金)ねじ
特長:物性劣化が少なく繰り返しリサイクル可能。スクラップ価値が相対的に高い。
運用のコツ:鉄混入は単価低下に直結。専用ボックス現場教育で混入ゼロを目指す。切削屑は液体を切ってから回収。
設計メモ

  • 電食対策として表面処理や絶縁ワッシャを積極活用
  • 小径精密品はバラ防止の小袋管理で回収率向上

チタンねじ(限定用途)
特長:比強度が高く耐食性に優れる高付加価値材で、回収価値も高い。
注意点:品質維持の観点からダウンサイクルに流れやすい。高品位のクローズドループ再溶解には厳格な異物管理と専用ルートが必要。
運用のコツ:鉄・ステンと完全分離し、少量でも別回収

樹脂ねじ(PA, POM など)
特長:軽量・絶縁など機能メリットは大きいが、機械的リサイクルは高純度分別が前提。
注意点:金属インサート・ガラス繊維・充填材の混在が障壁。樹脂コード(例:PA6、PA66、POM)****をラベル化し、**インサートは回収前に分離****運用のコツ**:色・材質で**事前仕分けし、熱履歴の多い品は無理に再生せずエネルギー回収**も選択肢に。

実務への応用(ベトナム製造業×オータの提案)

現場で循環を“仕組み化”するには、調達・設計→製造・品質→回収・再資源化を一連の業務フローとして設計し、誰が・いつ・何を・どの基準で行うかを明文化することが重要です。以下はベトナムの量産工場での実装を想定した、オータベトナムの推奨アプローチです。

調達・設計段階
1)素材ポリシーの確立:鉄・ステン・アルミ・真鍮を標準素材とし、製品ごとに優先順位を明確化します。混在材(異材質・異めっき)は工程負荷と回収価値の低下を招くため、極力抑制します。
2)図面・BOM表記ルール:図面・BOM・ラベルに、材質(例:SUS304/A2-70、C3604、A5052)、表面処理(例:Cr³⁺三価クロメート、黒染め、ノンめっき)、強度等級、ねじ規格(例:ISOねじ・ピッチ)を統一記法で明記します。小径品で現物刻印が困難な場合は袋・箱ラベルにISO 3506表記を記載します。
3)証跡(トレーサビリティ):EN 10204 3.1のミルシートを基本とし、入荷ロットごとにQRでロットIDを付与。工程内・出荷・回収の各ポイントでロットIDをスキャンして履歴を紐づけます。
4)環境情報の整備:ISO 14021に基づく再生材含有率の自己宣言テンプレート、ISO 14044に基づくLCA算定シートを事前に用意し、見積・顧客提出に即応できる状態にします。
5)調達条件への組込み:購買契約に「材質・表面処理の変更は事前承認」「ミルシート提出必須」「ラベルの表記要件」「スクラップ回収計画」などを条文化します。

製造・品質段階
1)締結品質とリユース判断:安全・圧力・高温・回転体・構造等の重要用途は原則リユース禁止。非重要用途でも、目視・ねじ山損傷・腐食・熱履歴を確認し、迷う場合は新品に置換します。
2)回収動線の設計:各ライン末端に材質別ボックス(鉄/ステン/真鍮/アルミ/混在)を設置し、作業手順書に“いつ入れるか”を明記します。搬送はカンバンで時刻管理し、満杯・回収・計量・洗浄の責任所在をRACIで定義します。
3)選別と前処理:一次は磁選で鉄系を分離、二次は渦電流選別(ECS)でアルミ・銅系を抽出。油分・切粉・ロック剤は可能な範囲で除去し、含液比率のKPIを設定します。
4)化学物質・表面処理の管理:めっき・酸洗・脱脂工程の廃液・スラッジは法令・社内規程に沿って処理。接着剤・シール材は過剰使用を避け、洗浄可能な代替品を優先します。
5)KPIと可視化:回収率(=回収重量/投入重量)、純度(材質混入率)、歩留まり、スクラップ売却単価、再生材利用率、CO₂削減量を月次で公開。ラインごとに色分けのダッシュボードで見える化します。

ベトナム調達 ×オータネジ ソリューション(例)
1)導入ステップ(4週間モデル)

  • 週1:現場診断(動線・材質ミックス・ラベル確認)、リスクと機会の洗い出し
  • 週2:図面・BOMの表記統一、回収箱・ラベル・QR設計、KPI定義
  • 週3:選別トライ(磁選/ECS)、スクラップ業者との単価・受入条件の整備

週4:SOP化と教育、初月レビュー計画の確定
2)サービスメニュー:素材別標準化(A2/A4・三価クロメート・ノンめっき等)、トレーサビリティ設計(EN 10204 3.1+QR)、ミルクラン回収の運用設計、LCA・環境自己宣言の書式作成、監査同席まで一気通貫で支援します。
3)費用対効果のミニ試算(例)

  • 真鍮切削屑:月50kg × 600円/kg = 30,000円
  • 鉄系ねじ屑:月200kg × 50円/kg = 10,000円

合計スクラップ収入:40,000円/月。回収・運用コストが月5,000円なら、純増35,000円/月の原価改善。これに廃棄費削減・クレーム低減効果が上乗せされます。
4)よくある落とし穴:小袋未表示、現場での“とりあえず混載”、設備移設時のラベル更新漏れ、油分多量混入による減額、磁選のみでステンと鉄を混同—これらはすべて単価と歩留まりの低下に直結します。
5)チェックリスト(抜粋)

  • 図面・BOM・ラベルの材質・処理・強度・規格表記が一致している
  • EN 10204 3.1のミルシートをロット単位で保管(電子+紙)
  • ライン末端の回収箱が材質別に常設され、色・記号で識別できる
  • 磁選→ECSの順で選別し、油分・液体を事前排出している
  • ロットQRで回収重量・純度・引渡し先を記録し、月次KPIを公開
  • 重要用途のねじは再使用禁止が作業標準に記載されている
  • スクラップ単価・受入条件を年2回は見直している

まとめ

本稿では、鉄・ステン・アルミ・真鍮を中心に、表面処理や規格の統一、分別しやすい設計と証跡整備によって“ねじリサイクル”を現場実装する要点を整理しました。重要用途の再使用は避け、材質別回収→磁選→渦電流選別で歩留まりと価値を高めます。EN 10204 3.1やISO 14021/14044で根拠を整え、ベトナムの少量多品種生産でもオータの調達・回収スキームにより、コスト削減と循環目標の両立が可能です。

さいごに

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