コラム
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原材料価格や人件費の上昇、サプライチェーンの複雑化により、製造業では「部品コスト高」や「工数増大」が慢性的な課題となっています。中でも、ねじ・ボルトなどの締結部品は製品原価に占める割合こそ平均 5 %前後と小さいものの、組立工数では最大 50 %を左右する重要パーツです。適切なネジ選定は、材料費と作業工数の双方に効く“ダブルパンチ”のコスト削減策となります。
本記事では、オータベトナムがアジア各国の現場で培った実績を基に、ねじ選定がコストに与えるインパクトを定量的に示しつつ、製造方法・規格・数量・組立工数の 4 つの視点から実務で再現しやすい改善策を紹介します。単なる理論ではなく、ベトナムを含むアジア拠点で効果を上げた事例を中心に解説することで、読者の皆さまが自社プロジェクトで即活用できる指針を提供することが狙いです。
想定読者は、日本国内の設計・購買担当者と、ベトナム現地工場の生産技術・調達担当者。国をまたいだ調達や量産立ち上げで「どのねじを選ぶか」にお悩みの方が、この記事を手がかりに 持続的なねじコスト削減 を実現できれば幸いです。
出典: Western Fastener
ねじの総コストは、下表の 4 要素で構成されます。
コスト要素 | 代表的な内容 | 目安構成比* |
素材費 | 炭素鋼、ステンレス、チタンなどの母材+線材加工賃 | 35〜50 % |
加工費 | 圧造、切削、転造、熱処理 | 25〜40 % |
表面処理費 | 亜鉛メッキ、ニッケルメッキ、黒染め、潤滑剤塗布 | 10〜15 % |
物流費 | 包装・梱包、輸送、在庫・ロット管理 | 5〜10 % |
*GISオータベトナム社内平均値(製品仕様・ロット規模により変動)。
加工費が膨らみやすい特殊切削品でも、圧造や転造へ切り替えることで最大 70 %の削減が可能です。
出典: 池田金属工業株式会社
出典: 丸物・旋盤加工.COM / MONOist
メリット
リスクと対策
ベトナム調達は加工費・物流費を同時に下げる有効策ですが、品質ガバナンスが成否を分けます。GISオータベトナムでは現地監査と日本語レポートを標準サービス化し、リスクを最小化しています。
出典: GISオータベトナム社内調査(2025 年)
切削加工が前提だった低頭六角穴付きボルト(M2)を圧造主体へ転換した結果、購入単価を約 70 %削減し、リードタイムも安定しました。圧造は金型投資が必要ですが、4〜6 か月分をまとめて生産すれば短期で償却できます。さらに旋盤→転造への変更でチップ代・切粉処理費が減り、表面粗さの均一化により品質も向上しました。
出典: 池田金属工業株式会社 / 丸物・旋盤加工.COM
AV 機器筐体の板金ステー 20 個を固定する 40 本のネジをリベット 20 点に置換した事例では、工具脱着が半減し 1 台あたりの組立タクトが約 25 %短縮されました。リベット化が難しい箇所には、座金一体型セムスねじやプレコートボルトを採用し、手作業工程を簡略化することで追加効果を得ています。
出典: MONOist
設備専用の特殊ねじをJIS 規格の六角穴付きボルトへ置換した案件では、ロット単価を 30 %低減し、調達リードタイムを半分以下に短縮できました。頭部形状を統一することで、ライン側のビット交換も不要となり、段取り替え時間を月間 10 時間削減しています。
出典: 富田螺子株式会社
月次発注を繰り返していた M2 低頭ボルトを、4〜6 か月分のロット生産に切り替えた結果、単価をさらに 15 %下げ、欠品リスクも大幅に減少しました。計画発注と安全在庫を組み合わせることで、需要変動にも柔軟に対応できます。
出典: 池田金属工業株式会社(導入効果レポート)
ネジ選定は、製造方法・組立工数・規格・数量の 4 視点を段階的に最適化することで、加工費最大 70 %削減、ラインタクト 25 %短縮、単価・物流費 30 %低減を同時に実現できます。圧造・転造への切替え、ネジ本数削減、JIS/ISO 標準化、4〜6 か月ロット発注を組み合わせれば、ベトナム調達のコスト優位性と GISオータベトナムの品質監査を活かし、長期的かつ安定したコストダウンが可能です。読者の皆さまの現場で、ぜひ本記事のポイントを実践してみてください。
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オータベトナムではねじやボルトの締結部品などの既製品販売をはじめとして、
モノづくりの裾野である切削加工、検査、組み立て、梱包なども対応を行っております。
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